花見を楽しむための基礎知識

葉桜

桜には、薄紅色の花を満開に咲かせている状態とは別に、葉桜というまた違った味わいをもたらす時期があります。この葉桜とは、花が散り、新たに若葉が芽吹いたところに、新緑の葉の色が混ざっている頃の木や、その状態にあたります。

この時期には、めしべやおしべが残って樹木全体に赤みが残っているために、遠目にはくすんで見えて遠目から見ると、くすんだ色に見えます。または、桜の木全体が新緑の葉に覆われて、瑞々しい艶を帯びた状態で覆われている頃までも葉桜と言われます。しかし、それ以降の時期で、葉が茂っているという状態を桜の葉桜と呼ぶことはありません。

そして、満開以降なら舞い始め、六分葉桜、七分葉桜、九分葉桜と葉と花の割合を示す言葉があり、これは桜の開花状態を表す、一分咲き、二分咲きといった、指標と同じような意味合いを持ちます。

この葉桜という言葉は句の中でもよく登場し、与謝野蕪村が詠んだ「葉ざくらや奈良に二日の泊り客」や永井荷風の「葉ざくらや人に知られぬ昼あそび」などといった作品があります。これは葉ざくらという言葉が夏の季語として使われているからなのです。また、これと同じようなもので、「花吹雪」という言葉は春の季語として使われています。

このように、日本では昔から、俳句や和歌の世界において、桜を意味しての花という言葉や、桜そのものが入った言葉・季語が多く使われています。これは、桜の花の美しさやはかなさに加え、季節を巡っていく様を感じ取ることができ、趣ある風体を作り出せるからなのでしょう。